
ヨガの指導者になりたいと思い、全米ヨガアライアンス200時間のヨガ指導者養成トレーニングを受講した時、初めて知った「マインドフルネス」という言葉。
わたしたちは頭の中で「不安・否定・恐怖・評価・過去のこと・未来のこと」常にあれこれ考えすぎて、心休まらない日々を過ごしています。
「忙しさの中で自分を見失いそうになる」と感じながら働く人
「子供のことが心配でいつもイライラしている自分が嫌になる」という母親
たくさんの人が心穏やかな日々を送りたいと願っています。
私自身もそのうちの一人です。
「マインドフルネス」とは最新の脳科学で「今ここにただ集中している心もあり方」です。
実践することで迷いや不安にとらわれず、動じない心を養います。
私はこの要素を深く理解し、ヨガのクラスに取り入れたいと思っていました。

今回のワークショップは香港からジャネット・ラウ先生が来日。
瞑想ではノーベル平和賞候補者の選出経験を持つ禅僧、ティック・ナット・ハンを師にされ、陰ヨガの第一人者ポール・グリリーを陰ヨガの師に持つ。
書籍『Living with Mindfulness and Yoga』の著書が話題になっている、アジアで絶大な人気を誇るヨガティーチャーです。

会場は東京、由緒ある清住庭園を望む大正記念館。
北海道、鹿児島、マレーシアなど海外からも参加者が集い、クラスは英語で行われ、日本語の通訳がつきました。

初日のテーマは「安定性を養う」でした。
嬉しいこと、悲しいことが繰り返される人生のなかで、自分自身の「安定性を養う」ためには・・
「あなたを不安にさせているものはなんですか?」「そもそも、常に一定であることが「安定」でしょうか?」
そんな問いかけから初日はスタートしました。

二日目のテーマは「感情の性質を知り、自分の感情を扱う」でした。
喜怒哀楽だけでは説明のつかない複雑な私たちの感情は一体どのようにして生まれるのか。
そこで陰ヨガの実践に入ります。
陰ヨガの特徴は通常のヨガよりもポーズのキープ時間が長いこと。
深い呼吸とともに1つのポーズを3分、長い時は6分ほどそこにとどまります。
長い間1つのポーズにとどまっていると「気持ちいい」「痛い」「辛い」・・さまざまな感情が沸き起こってきます。
それらの感情を「水族館で魚を見るようにして眺めてみましょう」とジャネット先生。
事実を事実として
感情を感情として
2つの別のものとして考えるヒントになります。
ある事実が起こるとそこにはいくつもの解釈が生まれます。
そしてそこには様々な感情がくっついてきます。
何かが起こった時、自分が感じた事と外側で起こっていることは違うことを学びます。

ヨガのポーズは格好良く決めるためのものでもなければ、ポーズがとれればすごいわけでもありません。
ヨガの本来の目的は「穏やかで満たされた心を養うこと」です。
そういう意味で、マインドフルネスの実践はヨガと通じます。
そのカギを握るのが「呼吸」です。
例えば、不安な時は、息苦しく浅い呼吸になります。呼吸は全てを私たちに教えてくれます。
幸せな時、満たされている時、私たちはとてもやわらかくゆったりとした、穏やかな呼吸をしています。
その「穏やかな呼吸」を行うためには、そのための姿勢をつくる「体」が必要です。
「最低限の、柔軟性と筋力の備わった、しなやかな身体」です。
そのために、ヨガのポーズがあるのです。
だからヨガのポーズはゴールではないですし、お手本通りに完成させなくてもいいですし、頑張らなくていいのです。大切なのはポーズの完成度ではなく、自分の呼吸を客観的に観察することであったり、その時、頭の中のおしゃべりから一旦離れて静かで心地よい時間にしていくこと。
運動不足の解消、内臓機能を整える、活力や集中力がアップする、美容効果などは、あくまでヨガの副産物なのです。
それらを自己流ではなく、安全に快適に行うためにクラスがあります。
私は日々、そんな想いでヨガのクラスをしています。

とても貴重で有意義な3日間でした。
学んだことを少しづつ咀嚼しながら、また明日からクラスに取り入れていきます。
常に気づきを与えてくれる生徒のみなさんに、子育てをしながらヨガを学ぶ環境をサポートしてくれる家族に、改めて感謝しています。